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iPad が障がい者の生活を変えた4つの事例

【原文】

ノア・ラーマンには、中級程度の脳性小児麻痺があり、意志疎通、認知、上半身・下半身の身体運動に障害がある。2歳のとき、彼の言語能力、認知能力、手先を使う運動能力は、発達障害の専門家によって12ヶ月の遅れがあると診断された。そしてノアはiPadを手に入れた。

4ヶ月後、彼の言語能力と認知能力は、彼の年齢並の水準となった。また、手先を使う運動能力は大幅な飛躍をみた。

現在、ノアは3歳(左がノア・ラーマン、右が父親のサミ・ラーマン)になり、毎日1~2時間、iPad を使うのに費やしている。彼は、自分のアプリを英語、アラビア語、スペイン語と切り替えて読み書きしていた。その歳の秋には、彼は5歳児のクラスに入った。「iPadによって、彼のモチベーションと希望が開花したんだ。おもしろいからね。」 父のサミはそういう。彼は、SNApps4Kidsの共同設立者である。SNApps4Kidsは、親、治療者、教育者がiPad・iPod touch・iPhone・Androidを使い、子どもたちに必要な特別な支援の経験を共有するための組織だ。

SNApps4Kidsは、障がい者をとりまく急激な変化に深く関与している。タッチデバイス-最も有名なのはiPad-は特別な支援が必要な子ども、成人、高齢者の生活を革命的に変化させる。サミ・ラーマンの見積もりでは、約40000に及ぶアプリが、障がい者向けに開発されている。

「タッチデバイスが、あらゆるものをアクセス可能にしました。みんなが iPadを持ち、みんなが iPodを持っていますからね。」とDisability Scoopの共同創業者、ミッシェル・ディアメンはいう。Disability Scoopは、発達障害に関する情報を集めたニュースサイトだ。「もしあなたに障害があるなら、他の人が使っているものを持てば、その人たちと同じ仲間になれたように感じるでしょうね。」

運動能力のない人にとっては、タッチスクリーンはより直感的なデバイスだ。マウス・キーボード・ペンのような、スクリーンとコミュニケーションするのをじゃまするものがない。iPadのような大きなプラットフォームの方が、小さなiOS/Android端末よりも使いやすく、また当然ながら、かっこいいので好まれる。

ここではタッチデバイスが障がい者の生活を変えた、4つの事例について紹介してみよう。


1. コミュニケーションツールとしての利用


iPadなどのタッチデバイスが発明される前、タッチして言葉を出力するテクノロジーを使うには信じられないほど費用がかかり、約8000ドルほどした。現在は、iPadで499ドルと、Proloquo2Goのようなアプリで189.99ドルかかるだけだ。

比較的費用が安くなったことにより、多くの発声ができない成人や子供にも、タッチして言葉を出力するテクノロジーが利用可能になった。iPadを単純にタッチするだけで、言葉を使えない人も、お腹が空いていれば、何が食べたいのか正確に伝えることができる。これらのアプリは、個人の生活やニーズに適合するよう、写真や機能をカスタマイズすることができるわけだ。

もうひとつ別の選択肢として、Assistive Chatがある。Assistive Chatはいくつかの完成された文章の選択肢を予測するものだ。最も重度の障害のある人々には、Yes|Noというアプリがある。Yes|Noはシンプルなアプリで、はい・いいえの回答を繰り返すことで、障害者の好みを声にすることができるものだ。

「これらのアプリによって、障がい者の尊厳を回復できるのです。」とヴィッキー・ウィンドハムはいう。彼はクラークスタウン中央学校の特殊学級の教師で、iPadを使って、あらゆる年齢層の障がい者に訓練を行っている。また、彼は、さまざまなな特殊ニーズのある人向けのアプリのレビューを行っている。

聴覚障害のあるiPadユーザーにとっては、soundAmp R を使うと、いろんなな状況の音を増幅することができる。ユーザーは講義やプレゼンテーションなど、あとでもう一度聞きたいものを録音することもできる。


2.治療デバイスとしての利用


SNApps4Kids 共同創設者であるクリステン・リートの息子、ヴィンセントはダウン症を持って生まれてきた。ダウン症は、筋力の低下を引き起こすことがある。ヴィンセントは歩くことはできるが、母のクリステンは息子のことを仏のようだという。彼はほとんどの時間、じっと座ってすごしているからだ。

ヴィンセントが生まれてから、彼の理学療法士と両親は、彼がもっと活発になるような手助けをしようとしてきた。療法士がジョギング・マシンにiPadを設置したところ、ヴィンセントは初めて歩く意欲がわいてきたという。彼は現在、9分30秒間姿勢を維持できるようになり、運動中もiPadを操作できるようになった。

iPad を使うことで、歩行などの全身運動に加え、手先を使う運動能力も向上した。ヴィンセントにとっては、コンピュータや古いテクノロジーは、マウスやキーボードとスクリーンの間を、視線を行ったきり来たりさせる必要があった。iPadでは、自分の指を直接見ながらスクリーンの上で操作できるわけだ。

ノア・ラーマンも、同じく運動機能の改善を見せた。アプリ Elmo Loves ABCs をiPadで遊んだあと、彼はアルファベットという複雑な指単独の動きを要求するものが全て書けるようになった。3歳児としては、これで彼は同年齢のレベルを上回ったと言える。「最初は『僕のためにこれをやって』から始まり、次に『僕とこれをやって』になって、現在は彼はひとりでそれをできるようになったのです。」とノアの父はいう。


3.教育ツールとしての利用


数年前、ジェレミー・ブラウンの自閉症児向けの小学校の生徒が、iPhoneを机から出し、簡単にiOSを操作しはじめたという。「水を得た魚のようだった」とブラウンはいう。ブラウンは自閉症児向けの小学校の教師であり、彼の生徒にタッチテクノロジーを用いている。

Brownは、テクノロジーと特殊教育についてのオンラインディスカッションに傾倒しており、Facebookのグループである iTeach Special Education の議論を管理したり、EdCeptional というポッドキャストのコラボレーションをしたり、Teaching All Students というブログの共著を行ったりしている。iPad を教室で使うことはまだ彼の学校の規則では許可されていないのだが、彼は iPad が授業で効果的な補助的手段であると信じていて、80~90%の彼の自閉症の生徒がiOSデバイスを使ってすばらしい結果を残している、と評価している。ブラウンは、彼の学校の規則や他の国内の学校が、iPad を教室での使用を認めるようになることを望んでいる。

従来からの授業の方法を変えることを支持する人はいないが、多くのアプリが数学から言葉の読み書きまで、教育の随所に深く関与するようになった。2010年8月、Appleは「特殊学級向けアプリ」セクションを AppStore で特集したくらいだ。

ブラウンは、親達に、教室でのiPadの利用と、娯楽目的でiPad利用を分けるよう勧めている。生徒達は、スクールバスでYouTubeを見る者がいるかもしれないが、学校にいるときは ブラウンの iPad が教育目的専用であることを理解している。


4. 行動モニターとしての利用


Behaviour Tracker Proは、発達障害のある子を持つ親たち、カウンセラーや教師たちの支持を受けているアプリだ。メモがとれるのに加え、良い行動、悪い行動を録画して、後で見返すこともできる。それらのインプットをすぐにグラフやチャートに図式化できる機能も魅力だ。

高校教師のヴィッキー・ウィンドマンは、iPadがアルツハイマー病や認知症を患う成人にとっても、記憶を強化したり補ったりするうえで非常に役立つことを指摘する。但し、そのような先進技術は魔法の治療薬ではないことにも言及しながら。「両親はいつも私に苦言を呈してきます。彼らが望むのは治癒。でも、これは治癒にはつながらないのです。」

かといって、テクノロジーが助けにならないというわけではない。例えば、Medication Reminderというアプリなどは、服薬の時間を忘れないようユーザを促す。ウィンドマンが記憶を補助・強化するアプリ Memory Practice は開発し始めたのは、彼の実母がアルツハイマー病と診断されたことに端を発する。ウィンドマンの父親は、Nudgeというアプリを使っており、15分おきに用事を知らせるリマインダの助けを得て、日々山積み状態のタスクをこなしている。


長い道のり


これらのアプリは確かに役に立つが、それでも地道な治療の取り組みをおろそかにすることはできないのだと、SNApps4kids の共同創設者クリステン・リートは言う。「機械を買うだけでは、何も変わらないのです。」と彼女は言う。

ラーマンも同意する。解決策として iPad を利用することは後方からのアプローチだという。「テクノロジーを手に取る前に、しっかりと目的を理解する必要があると、私たちは考えます」とラーマンは話す。「私たちは、自分達の息子を iPad の前に置き去りにするべきではないということです。それこそが本当の鍵なのです。」

写真提供:サミ・ラーマン

【via Mashable 】 @mashable


著者紹介:ゾー・フォックス

ゾー・フォックスは、2011年6月から、ソーシャル・グッド・チームのインターンとして Mashable に参加している。最近、ノースウエスタン大学のメッドヒル・ジャーナリズム・スクールを卒業した。タイム紙、モーメント・マガジン、エルサレム・ポスト紙での勤務経験がある。

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